愛知用水-工事の記憶など2016/12/01

 小学生になった頃、マイプレイランドにブルドーザーがやってきた。土掘り道具と云えば、日本中どこを探しても鶴嘴や備中鍬か、スコップの時代。その場所だけがまるで*未来世界*だった。
 愛知用水工事は、大型重機を使用した機械化施工により極めて短期間に完成した土木工事で、戦後日本の土木史に燦然と輝いている(私は土木屋ではないので伝聞)。
 歴史的大事業の現場とは云え『立入禁止』看板がある訳ではなく、柵を張り巡らす経費など出せる筈がない?時代。そこは、小学生でも立入自由な空間だった。危険な距離は自己裁量で決める-ブルドーザーが異常接近してきたら、走って逃げればよい。
 ダンプカーが数台いた。人口一万人ほどの町内に自家用車は数台のあの頃。乗りたくない筈がない。すぐに、「あのダンプに乗ろう!」が現場通いの目的になった。人の好さそうな運転手を探して、積み込み待ちの時に声を掛けると、簡単に『OK』が出た。
 残土置き場までの一往復。助手席は見晴らしが好くて、爽快だった。運ちゃんは子供相手にずっと変な喋り方をしていた-後年分かったことだが、彼氏は技術監理に来ていた米人技師が喋る片言の日本語を、口真似しているようだった。
 1回乗ったらすっかり満足し、再び工事現場を訪ねることはなかった。私は【日本の工事現場でダンプカーに乗った最初の小学生】を自負しているが、もちろん権威筋から認証されている訳ではありません。
*愛知用水総合管理所のトップページ*で、<”愛知用水”ってなあに?><書籍・映像><愛知用水グラフ>と辿ると、3冊の「愛知用水グラフ」があって、大昔に行われた色々な工事の様子を見物できます。私の見学体験は、幹線開水路の掘削工事でした。
*http://www.water.go.jp/chubu/aityosui/
 
 ほぼ40年後の帰省時に第二期工事に遭遇した。特別に興味が湧いた訳ではないが、
愛知用水第二期工事
なかば習慣的に、富士フィルム製防水カメラ”現場監督”のシャッターを押した。それからさらに10年、全く関心を向けないまま過ごしてきた。