パイプメモ: Loewé ”Fireside” No.52016/05/17

 老眼で見て汚れと染料剥げが目立たないようになったところで、数年振りにパイプの写真を撮りました。
炉端用のパイプ
 
 オークションでは、”チャーチウォーデンChurchwarden"と書いてありましたが、一目「チブクのブライヤーバージョンだ」と思って落札しました。マウスピースの銀環から1908年の製作と分かります(下写真、//www.silvercollection.it/englishsilverhallmarksBIR.htmlによる)。”RD”は Robert Victor Dumenil (パイプ銀巻の細工師1894-1914,//www.horniman.ac.uk/ による)。
Koewe silvermark
*銀巻とバルカナイトの隙間の赤い汚れは、磨きに試したベンガラ。取れたと思ったのですが、まだ残っていたようです。

 Loewéカタログ(1910復刻版)では、『炉端シリーズ The "Fireside"Pipes Series』と呼び、当時価格7シリング6ペンスで販売されていた(下写真)。
Loeweカタログ
 なお同時期のAdolph Frankau & Co.Ltd.のカタログ(1912復刻版)には、ほぼ同型のものが載っており、”Verandah" とか "Club Army" などの呼び名が見えます。ちなみにBarling's のカタログ(ca.1910-1914復刻版)にもアーミーマウントで細長いマウスピースのものが一つ載っていますが、特別な名称は付けられていません。カタカナ日本語化している”チャーチウォーデン”はダンヒルのネーミングのようで、手元にある"about Smoke"(5th,1928復刻版)に4タイプが載っています。

 "Fireside"と聞くと、映画デルス・ウザーラの1シーンを連想します。大尉が一人で焚火の傍で待っているところへ、林の中から突然デルスが現れる。大尉の横に胡坐をかくように腰を下ろし懐から長いパイプを取り出と、燃えさしの小枝を1本つかんで煙草に火をつける-と云う場面です。パイプは柄の長い黒いビリヤードでしたが。焚火や暖炉で火をつけようとすると、柄の長いキセル型のパイプでないと頬が熱くて具合が悪いですから、長尺パイプはマッチさえ使わなかった時代の名残なんだろうと思いました。
 このパイプに煙草を詰めるのは、当分先のことになりそうです。