ウルムパイプ#37: シラカンバ材2011/10/23

実地見学。
シラカバと錫丈岳
写真1 シラカバの梢から錫杖岳(2168m)が見えた
観光道路際の人工林ですが、山は本物です。

気分良く新穂高ロープウェーにのったところ
ガイド嬢曰く 『幹の白いのはみなダケカンバです』
そこで復路、降りてから撮り直したのが次。
錫杖とダケカンバ
写真2 錫杖とダケカンバ  
手前の黄緑、黄~赤色はオオモミジ(植樹)です。
写真はいずれも2011年10月20日に撮影


シラカバ材*の特徴;                
1)適切な着色処理で美しい多色杢を生じる
2)燃えやすい**

ここでは、これまでの書き方を変えて用材固有の特徴は簡単に済ませ耐火性問題と用材の種類を決める難しさを用材全体のまとめとして述べている。

*シラカンバは何となくゴロが悪く、独和もシラカバとしているので、以下はシラカバで。
**2番目の段落から推察した。原文に『燃えやすい』と云う直接的な記述はない。
    しかもこの表現自体も適切ではないと思うが、つい書いてしまいます。
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"Maserholzpfeifen" aus Birke
訳:シラカバ製の有杢パイプ
 ウルムパイプの製作に際して使われたシラカバの材質についてもごく簡潔に取り上げたい。シラカバ杢を過小評価すべきではない、その美しさは他の多くの材にひけをとらない。シラカバ材は適切な染色あるいは着色により、素晴らしく美しい多色杢をもつにいたる。
 昔のパイプ製作で多くの用材に僅かな耐火性を持たせ得た理由は、往々にして人々に殆んど理解されていない。しかし、非常に多くの”ウルムクローベン”が、例えばハンノキ杢かあるいはシラカバ杢をもつ用材<1>から作られていることが確認されている。それでこれらのウルムクローベンは、大きな耐火性を全く持っていないと仮定せねばならない<2>。
 少なくともウルムと該当する周辺地域における木製パイプの製作は、ある程度は解明されたと言い得る。ウルム自由都市地域では、パイプを作る轆轤師が早くも1690年頃にある着想をもつにいたった。それは、木材で作られる彼らのパイプの内側(Tabakraum){タバコ空間;火皿orチェンバー} に薄い金属板を当てがう-と云う考えである<3>。それは焼けて穴があくことからパイプを護ることを目的としたが、この木材つまり木製パイプを被覆したことが、パイプ職人にとってのパイプと喫煙者の手の保護とに役立った。
 もちろん他方では、いつも次のようなことが起きている-出版でパイプの製作に使われた材種を分類命名する際に、全く異なった幾つかの用材が同じかまたは類似した名の下で理解された。また、かなりの数の樹木名が付けられた多くの用材に関して不案内な人々は、新たに学び始めようとしなかった<4>。そのため文献には、パイプ用材として”X-Holzen用材不詳”と表示するか、あるいはパイプを理解しようとしないで似たように聞こえる名前をつけて全く別の用材として誤表記することがあった。
 ウルムの有杢パイプが作られている材木の種類に関して、非常に多くの思い違いがあり、また誤った報告がなされている。その後に続いて筆者は同じ問題を取り上げたくない<5>。いずれにせよ、筆者は長年の収集活動の中で、コクダンから作られたウルムの有杢パイプを一つも見出さなかった<6>。
-用材各論の原文訳 以上-

註:

<1>われわれが観察しているのは杢(木理)である。ある杢がみられるからと云って即、材種の 決定が出来る訳ではない-と云う認識により、回りくどい言い方がされている。昨日製材た真新しい木材であれ、古木であればなおさら用材の鑑定は難しい-と想像できます。
<2>管理者は燃やしたことが無いので知りませんが、少なくともハンノキとシラカバは一般に燃 えやすい材質である。それでこのような材で作ったパイプは燃えやすいことを想定しておかないといけない-と云う文意だろうと解釈しました。
<3>このブログでは既出の内容
<4>思うて学ばざれば即ちあやうし(殆)・・・この難しい漢字はネットに書いてありました。
<5>材種の同定が完結していないので、誤記する可能性が残っていると云うことだろうと思います。そのため、本書に掲載されているパイプ写真の説明には、用材に言及した箇所が一つもありません。しかし4つの材種があると書く以上、氏にはそれぞれの根拠としたパイプが少なくとも一つづつは確認できているハズですから、それらを本書に配置して欲しかった。
 今回の訳出に際して、各材料について代表的なパイプ例をピックアップして並べることを考えましたが、無理でした。氏の改訂版に期待します。このままでは単なる訳ブンで終わってしまう(笑)。
<6>最後のコクダン云々は、着色処理されたシラカバ製のパイプはドイツではコクダンと誤認され易いことを述べていると思われます。結びの一文で、話が章題に戻りました。


InsideWoodデータベースから転載(http://insidewood.lib.ncsu.edu)
シラカバ材の標本
(Published and Sections made by Romeyn.B.Hough. N.Y.,U.S.A.)
最後なので見つかるだけ並べて、見比べた。
ここで引用した称は、データベース上で採用されている表記に従いました原画に書かれた名称(R.B.Houghによる)とは異なる場合があります
写真原図の下に通称(英語名)、上には学術名の属名(ブロック体)と種名(イタリック)がある。
カンバ材標本1
図1. 左から右へ、灰カンバ、紙カンバ、黄カンバ (和名は適当です(笑)
    それぞれ上から下へ横断面、放射断面、接線断面を配置。

カンバ標本2
図2. 左から右へ、赤カンバ、桜カンバ、白カンバ (和名は適当です(笑)
    それぞれ上から下へ横断面、放射断面、接線断面を配置。

シラカバの仲間には多くの名前が付けられていることが分ります(他の樹も同じですが)。傑作は図2.の左の赤カバ。原画(の下段)に書かれた独・仏・西語の呼び名は、みな黒カバ。混乱するなと云う方が無理な注文と云うものです。

顕微鏡下の組織
カンバ材の組織
図3. 黄色カンバ?の顕微鏡写真(左:横断面、右:接線断面)

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あとがき;
本書で、木材の種別に関するまとまった記述の訳は以上で終了しました。
別の章にあるウルムクローベン型パイプ写真の下に、陶製パイプPorzellanpfeifeと云う単語を見つけました。写真を見る限り、火皿が陶製であると想像されます。次回はこの辺りを探ってみようと思います。