ウルムパイプ#35: 西洋ナシ材2011/10/21

西洋ナシ材の特徴として;

1)密実で堅いが、重い
2)加工性、研磨性は良い
3)染色し難いが、天然素材の色が美しい
4)根茎と品種改良された幹から取った用材は適さない

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"Ulmer Maserholzpfeifen" aus Birnbaumholz
訳:西洋ナシ材製のウルム有杢パイプ
 西洋ナシはクルミと同様に最適な木材で、ロクロ師たちには数百年来知られた用材である。ウルムのパイプ職人たちもクルミと同じくらいに、彼らのパイプを製作するに際してナシ材を使用した。ナシの材木はその組織が密で、堅く、かなり重い。そして年輪が細かく <1>均一である。加工および研磨性が良い。

 ナシ材は他の用材のように染色によって暗色から黒色になることが殆んどない。それゆえ多くのウルムパイプは、単に重いとだけ認識されると、特に黒檀材Ebenholzコクダンか、あるいはツゲの木Buchsbaumから作られたパイプだと誤解されるかもしれない<2>。無着色で、単に蜜ろうで磨かれただけのパイプは、素晴らしく美しい黄褐色の色あいをもつ<3>。
 
 筆者はナシの根の杢に関する指摘はしたくない<4>。加えて、品種改良されていない梨の樹(Mostbirnbaum)から取った用材が最高である。        -以上- 

註:
                                                                                                         
<1> feinjährigと云うアントン氏の(?)造語(形容詞)。前文で細胞組織が”密である”と述べた下りでは形容詞dictが使われています。特徴の記載が重複しているように見えるかも知れません。しかし年輪(成長輪)の狭さが即、組織全体の密実さを意味する訳ではありません。管理者が持っているブライアーもその好例であることを、過去の記事でボンヤリと書きました。一年以上経ち、当事者が錯誤状態に戻っていました。
<2> ウルムパイプには、≪重いものが多い≫という欠点があることを述べています。
<3> このくだりは、A.DunhillのBruyèreのdead-root礼賛(The Pipe Book)に似ている。しかし次の行では、梨木の根は使えないと暗示的に描かれています。
<4> ≪根は使い物にならない≫の別表現。次の文でMostbirnbaumは≪果肉が生食に適さず果実酒を作る以外には使いものにならない実(笑)がつく梨の木≫でしょうか。つまり”野生している洋ナシの原生種”のようなものか?うるさく付記すれば、上2の段落は表現は文学的?ですが客観的な特徴の記載。最後の2行からなる段落では私見だと断って書き分けている。それで本記事の冒頭で要約した特徴4)は原意に従えば、必ずしも一般的見解ではない-と断るべきでしょうが、煩雑なので簡単にしました。



InsideWoodデータベースから転載(http://insidewood.lib.ncsu.edu)
西洋ナシ材の標本
(Published and Sections made by Romeyn.B.Hough. N.Y.,U.S.A.)
梨の材木標本
図1. 上から下へ横断面、放射断面、接線断面を配置。


顕微鏡下の組織
梨材の顕微鏡写真
図2. 左:横断面、右:接線断面。