ウルムパイプ#34: クルミ材2011/10/19

用材各論は混乱を避けて、1材料を1記事に分割。

総論で挙げられた4種の順番とは異なり
最初にまずクルミ材が、簡潔かつ難解に記述されている。
クルミ材と聞けばでも、カタカナ英語ではウォールナット材

クルミ材の特徴として
アントン氏は次の二要素を挙げる。
1)根茎の杢が美しい
2)曲面の加工性に優れる

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以下、()は原文にある挿入、<>は注釈.
Nußbaum als Werkstoff für "Ulmer Maserholzpfeifen"

訳:ウルム有杢パイプの製造材料としてのクル
 先に言及したように、多くのウルムパイプがクルミ材<1>から作られた。家具師にとってと同じようにロクロ師にとって、クルミ杢材は常に傑出した用材であった。それでウルムパイプの製作者たちがこれら高貴な用材(クルミ杢材)にしばしば好んで手を伸ばしたことは、少しも驚くに足りない。とりわけクルミの根茎は飛びぬけて美しい杢をもつ部分である。クルミの根は地上にある木の余り物としてではなく、掘り起してまで使われた。これは数百年来の知見である。
 
 クルミ材つまりクルミ杢は、その傑出した固有の性質と表情豊かな杢とにより、早くから常にあらゆるロクロ作業に適していた。より大きな表面をもつあらゆるものや、ウルムパイプの側部のような湾曲部を作るのに良いこと<2>が知られているが、それらのことが明らかにされた結果クルミ材からパイプが製造されるようになった。                                      -以上-

<1> クルミ材と単純に訳しましたが、ここの原文は
      "Nußbaum-Fladern" oder "Nußbaum-Maserholz" と、しつこく書いてあります。要するにFladern=Maserholzで、左辺は18世紀、右辺が現代の用語ということです。使われ方は日本語の場合の杢であったり、木理であったり、両用です。

<2> 『大きな板材では杢が引き立ち、湾入した(ボウルの底の形)ような形にも加工し易くて良い材料だ』と云う認識が広まって、パイプにも使われ始めた-と云う文意です。

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InsideWoodデータベースから転載(http://insidewood.lib.ncsu.edu)
下の3つの図は、みなブラックウォールナットですが、異なるサンプルです。

クルミ材の標本(Published and Sections made by Romeyn.B.Hough. N.Y.,U.S.A
クルミ材標本
図1. 上から下へ横断面、放射断面、接線断面を配置。
    放射断面に斑紋がよく現れていますが、斑紋が小さい。大きさが比較的
    揃っている。  (私は面白味がなく、”平凡”な印象を受けましたが・・・)
    同データベースには、上のようにやや均質な印象の木理を示すものが殆んど。


木材表面の拡大撮影
クルミ標本マクロ
図2. 左から右へ横断面、放射断面、接線断面を配置。  

顕微鏡下の組織
クルミ顕微鏡組織
図3. 左から右へ横断面、接線断面、横断面。
    
ブログ書き作業をしながら
横断面の組織は昨日のカエデ組織(記憶)によく似ていると感じたので       
カエデの組織標本
図4. カエデの顕微鏡写真

並べてみたところ、明らかに別タイプ(苦笑)。   
そこで生まれた教訓:
    修行が足りない時、見ただけの記憶は殆んど当てにならない。
    スケッチをするべし。描けば分って残る。
    鉛筆を削る労を惜しんではならない。            -以上-