Briar_Note (2/x): The Making of Briar Pipes (1)2009/11/28

パイプ工作機械
本文の様子(パイプ工場で使う機械の一例)
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2 The Making of Briar Pipes
        
   ブライヤ-パイプを作る全工程を通して4つの案件を4パラグラフに分けて記述している。各段落ごとの結論は概ね次のようなことである。
<4段落ごとの結論> 
  1)高級品の製作工程は70~80になる.
  2)パイプ工場に届くエボーションは個体差が大きいので、再選別が必要..
  3)パイプの機械製造は廉価で良質なパイプを作る重要な手段である.
  4)次節3.と4.の機械工程は点検・保守が大切で、機械の調整と操作についての責任者
  を置くことが重要である.
   
上の4項をまとめて要旨を書けば、次のようなところだろうか。

 <要旨>
 一般には<手作りは高級・良質>、<機械づくりは低級、粗悪>と云う固定観念があ
る。 しかし機械を利用しても優秀なパイプ製品はできる。 ただし工作機械の点検や保守が大切。また何よりも 機械の調整と操作に熟達した責任者による工程と品質の管理が重要である。機械切削によりエボーションの瑕(キズ)を早期に検出できるようなったため、70~80もの作業工程を要する高級品の工期短縮にもつながった。

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8.陶製パイプ
 (未読につき、『紳士』から抜粋)
1)ブライヤーパイプと紙巻きタバコの出現で製造者が激減したが.英国には残る.
2)”チャーチ・ウォーデン(churchwardens)”、”スモーク・ルーム(smoke-room  pipes)”、  ”ロンドン・ストロー(London straws)”など24インチクラスのものを作る職人は、シュロップシャー(Shropshire)に僅かにいる.
 3)利用する陶土はデヴォン(Devon)産が良質. 
 4)--製作方法が作業順に、簡潔にして具体的に説明される(中略)
 5)1回の窯焼きで、200~500本を作る.

【参考:クレイパイプ小史】
クレイパイプと婦人
クレイパイプ概説
4章:パイプのショートヒストリー(Fig.16,p86-87) そのまま出しておきます。
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9.海泡石パイプ (注1)   
 前半は真正の海泡石パイプについて解説し、後半で<偽物作り>を解説している。模
造品用の”偽原石”を作る例を挙げている。『紳士』の訳文は分かり難いので、参考まで
に整理して示す。(英名は本文に表記)      
 方法1-1:原材料:Gypsum(原石名:石膏) とlime消石灰(粉末状)
          合成法:混ぜて炉で焼成 →生成物:a hard plaster(無水石膏=焼き
           石膏)
              調整法:石膏の塊を油を使って磨くと表面が滑らかになり大理石に似た
           外観に変化する。これを代用品として利用する。
 方法1-2:原材料:Gypsum(岩石名は石膏) とgum arabic solution(天然ゴム溶液)
               合成法:容器内で煮詰める→生成物:a hard plaster(無水石膏:焼き石膏)
             調整法:1-1に同じ.
       
 方法2 : 原材料:Paris(原石名:和名無し,パリス); 下の注2)参照.
          合成法:炉で焼成 →生成物:hardened plaster(無水石膏=焼き石膏)
                調整法:①着色:gamboge(和名:雌黄,植物性,黄色)と
             dragon's blood(和名:麒麟血,植物性,赤色)混合液に漬
             けて着色し磨く。
                   ②艶出し:paraffin oil(パラフィンオイル)あるいはstearic acid(ス
             テアリン酸:=石鹸)に浸して艶を出す。                       
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注1) メシャムパイプの製造は、The Illustrated History of The Pipe が詳しい..
注2) Paris(パリス)はおそらく通俗名。似た鉱物名にparisite(パリサイト)がある.
    ほとんどparisiteからできている岩石を採鉱する際にParis(パリス)と呼んだと   思われる。gypsumという名称も同じ様に使われる。Parisは日本で天然には産
   出しない。 化学的にはgypsumと似ているが、gypsumよりは硬い。
    合成法は、加熱+酸化により無水石膏を生成する反応過程と思われる。生成物
   の無水石膏を粉末にして水で溶けば<ドロドロの石膏>。それが固まって硬化す
   れば<石膏>。
   plasterは(辞書:焼き石膏、紳士訳:漆喰のようなもの)。鉱物・化学的 には上
   の整理で十分と思われる。もし疑問があればセメント会社や窯業試験所などで専
   門家に御確認を。
 ================   第Ⅰ編終了 =====================


【参考:メシャム小史】
                                  -以上-