Tobacco_Note(2): "The Growing of Tobacco" by Dunhill,A.H.(1954)2010/03/27

4.  Curing(乾燥)
脱水(dried)させただけのタバコ葉の香りと味(*)は,他の乾燥させた葉(dried leaves)となんら変わるところが無い.curingとfermentationが葉に特別な香りをもたらす.
(註:本職の方は<香喫味こうきつみ>と云っている.⇒『たばこ雑学教室』

”タバコ乾燥”(curing)法の全ては、部分的には”天日干し”で脱水されているが、基本的には<air curing > か <flue curing> と云われている方法で処理される.

Air curing;風通しがよい納屋に桟を組んで葉を掛け、自然の温度条件のもとで、乾燥させる. しかし雨降りなどで湿度が高い時には多少加温することもある.
たばこ乾燥小屋
  after Dunhill,A.,(1954)

Flue curing;葉を小さめの納屋に入れて、パイプ(煙突)を通じてか,あるいは直火により加熱乾燥させる.加熱温度は32~77℃(90~170℉)で変化させる.乾燥中は,注意深く温度管理を行う必要がある.特に葉が黄変したときに脱水が不十分だと,葉が褐色になり(*注),本来の香喫味が損なわれる.Flue curingはタバコ葉を明るい金色に仕上げる.
       
上記二法のほかに,香木やおが屑などを使って,”いぶす”ことがある.これは化学変化を利用してたばこ葉が本来の色調をもつようにすることが目的である.
キュアリング小屋に持ち込まれる葉の含水比は約80%である.乾葉を1,000ポンド作るためには,生葉が約5,000ポンド必要で,キュアリング中に約2トンの水分が失われている.(註: 1トン = 2,240ポンド)  
⇒(*注): 訳本では,『乾燥が過ぎると葉は黒くなって・・・』とある.該当する原文は<・・;if it is dried too slowly, it turns dark and loses its correct aroma and taste. >

原文要約は以上.現代のキュアリングに関する記述としてはやや物足らないので,訳文の適否の検討を含めて,『雑学教室』他で補うことにする.
                                           
『雑学教室』第3話:
乾燥を失敗するってこともあるの(佐藤昌良)より
タバコの葉を乾燥させる方法は,黄色種を乾燥させる黄色乾燥法と,バーレー種,在来種を乾燥させる空気乾燥法に大別される.
黄色種は葉全体を黄色に,バーレー種と在来種は褐色に仕上げることが必要.失敗事例の多くは,黄色種の乾葉に緑色や褐色部分がある,あるいはバーレー種及び在来種の乾葉に黄色の部分があるような場合.
失敗は黄変期から固定期,あるいは黄変期~褐変期への移行時に起こりやすい.脱水が早すぎると,黄色種に緑色の部分が残り,バーレーの乾葉に黄色の部分が残りやすい.また黄色種に褐色部が生じるのは,葉の水分が高いうちに温度を上げ過ぎることが原因である.

『雑学教室』第5話:
黄色種とバーレー種で葉たばこの色が違うのはなぜ(佐藤昌良)より
収穫したたばこの葉には葉緑素とよばれる緑色の色素と,黄色の色素が含まれている.
乾燥初期には、葉緑素分解酵素のはたらきによって,緑色色素が急激に減少する.黄色色素は分解されにくいので,葉色が黄色に見えるようになる.
黄色種は黄変させた後,徐々に温度を上げて脱水を進める操作にはいる.これにより化学反応が余分に進むのを防ぐ(固定).
バーレー種の乾燥法では,葉の水分が乾燥の後期まで比較的高く保持されているので,化学反応が黄変後も進行する.(ポリフェノールが酵素の働きで酸化され,たんぱく質などと結合して褐色の色素を作りだす(褐変).

『雑学教室』第5話:
乾燥中にたばこの中で何が起きているの(佐藤昌良)より
1)葉緑素分解酵素が働き,緑色がなくなり黄色になる(黄変期).黄変期の温度は36~37℃.Q.⇒ 色素の分解が発熱反応という意味か?温度を高くして反応を進ませるのか?)
2)葉の細胞内に蓄えられた,<たんぱく質>や<でんぷん>の分解反応.たんぱく質⇒アミノ酸,でんぷん⇒糖により,アミノ酸や糖が増える.
3)葉の表面にある”毛茸(もうじょう)”から分泌される<テルペン化合物>が乾燥中に他の物質に変化して,元の量の1/3~1/4に減少する.この変化で”香り”を形成する物質が作られる.

 c.f. "The Illustrated History of Pipes" 
1)flue-cured :      Virginia   ;  USA, Carolinas, China, Brazil
2)light air-cured : Burley    ;  USA, Italy, Brazil, Thailand, Africa
3)dark air-cured :  Cigar     ;  USA, Italy, Indonesia, Philippines, Brazil, Cuba, France
4)Sun-cured :       Oriental ;  Mediterranean, BlackSea, Italy, Yugoslavia, Greece, Turkey,   south-east Russia, Syria
5.Grading
6.Fermentation
7.Marketing