W・ウエストン師の”北日本アルプス氷河現象論争”2015/07/03

十日ほど前のこと;
重い腰を上げて本業に取り掛かったところ、Win98時代に作られたエクセルファイルのマクロが、最新のPC環境ではチャラチャラ動かない。独りで怒鳴り散らしているところへ、古本屋さんから「ウォルター・ウエストン未刊行著作集」(三井嘉雄,1999,郷土出版社)の2巻セットが届いた。古の空気に浸れば気分も鎮まるだろうとの思いで開封した(写真1)。

下巻を開けると真っ先に、『北日本アルプス氷河現象論争』(以下では『氷河論争』)と言う大きな文言がぼんやりと読めました。しかしその本文活字は何本もの黒い筋群で、まさに”氷河による擦痕”のようなものでした。本ブログの表題は三井訳の借用です。

掲載誌は1915年の英国ジオグラフィカル・ジャーナル第46巻。発刊年に見覚えがあって探したところ、同じ巻数の雑誌が手元でも見つかりました(写真1)。
ウエストンの本
写真1 W・ウエストン著作の訳本と掲載雑誌の一部。
左側は今回仕入れた『未刊行著作集』(箱入りで上下2巻セット)です。
右側がジオグラフィカル。下の青表紙が1915年第46巻の1冊で、第3号(9月号)。上の白表紙は、1906年の同誌からウエストンの論説と付図を抜き取った仮綴じで、ネット古書店の販売品。

青い表紙に印刷された英文標題は、どうみても著作集の日本語標題とは異なるので、巻末の標題一覧(収録分)を見ると、原題は、”Suggested Glacial Phenomena in the Nothern Japansese Alps.”であることが分かりました(この時点では、これが手持ちの雑誌に載っているとは全く気が付きませんでした、たぶん次号だろうと)。

ジオグラフィカルを読み解くの面倒なので、”虎の巻”代わりにと思って仕入れた未刊行著作集ですから、残念な気分になりました。ここで投げ出せばよかったが、やや煽情的な標題訳につられて、「冷たい氷の話を聞けば気分も鎮まるだろう」と気楽に(訳文に)目を通したことが致命的。未だに真相不明が残り、ウンザリ気分に浸かっています。

翻訳文の長さは訳注を除くと23行という短さで、内容は「”日本の氷河” 研究-35年の歴史と現状」と云ったところです。訳者の注によると、著者ウエストンは慎重な下調べの後に(英国で)書いたようですが。

一応はブログなので、
ジオグラフィカル・ジャーナルを閲覧するルートを書いておきます。
onlinelibrary.wiley.com/>Geography>General&Introductory Geography>The Geographcal Journal  です。
グーグル検索で、geograph  journ くらいを入力して辿りつく方が早道です。ワイリー・オンライン・ライブラリーにあるので、「全部を無料」でみることは無理な注文。