”Ulmer”pipe と 南アフリカで使われたパイプ2011/01/14

<たばこと塩の博物館>刊行の図録写真は,商用を除く個人利用
の場合,転載可とのことで,"Ulmer"pipeを写真で紹介します.
解説記事もそのまま拝借します.

【冊子の紹介】
手短に(図-1).
カタログ表紙
図-1 <たばこと塩の博物館>特別展のカタログ表紙

特別展(2009/9~11)への出展は,
オーストリアタバココレクション(Collection JTI/AUSTRIA TABAK),
王宮家具博物館,王宮銀製品保管庫(Bundesmobilienverwaltung),
コーヒー博物館(Kaffeemuseum Wien) ・・・からだったそうです(^_^)

カタログは,A4判,151ページの上質なフルカラー,重いほどに重厚.
前半にオーストリアのタバコとコーヒーに関する文化史的な論説があり,
その後の約100ページは展示品の図録という構成,頒布価格1,000円.
喫煙具の種別は,18~19世紀のスナッフが多く,次にメシャムが多い.
F.ヨーゼフⅠの葉巻きの吸い殻,ベートーベンの巻き毛入りスナッフなど
珍品の掲載もあって,見飽きません.
ブライアーパイプの写真はゼロ,Brairの一語すら見当たりませんが
"Ulmer"pipeは堂々の3点,1ページを占有しています.
         *

Ulmer pipes
それは,すでに図-1にも登場しています.
次のような姿(ボウル)です(図-2).
"Ulmer"pipe
図-2 ウルム形木製パイプ(上段)と同形のメシャムボウル

<Ulmer型の特徴>は
ボウル内・外側断面がU字型,ほぼ左右対称で
どちらがチェンバーで,どちらがシャンクか分らない
「現代の異形相"OomPaul"も普通のベントに思えます」.

「これで前記事は完結」-と思いきや
別ページにあるメシャムボウル,これはウルムとは書かれていない(図-3)
Old Meerschaums
図-3 筒形のメシャムボウル

この種のボウルの設計図が一枚載っています(図-4).
pipe-design
図-4 パイプ形のパイプ設計図

「正に筒です」
        **

Kaffir pipes
A.Dunhillの”The Pipe Book"には
ニコチンタバコ以前にも使われていた古い喫煙具が載っています.
”大地のタバコ earth smoker”は別にして
まず”直線のパイプstraight pipe”が登場したようです.
それが<直線状の筒の端を(折り)曲げた>ことを契機に
現在のさまざまなパイプの発展につながったように思えます.
<曲げるor折る>の動機は,<熱くない煙>を欲する願望故か.

同書の10・11章は”アフリカの様々なパイプ The Myriad Pipes of Africa”.
南アフリカで使用された古いパイプの記述が,11章p198-200に.
該当ページをそのまま転載します(図-5,6) 
Kaffir pipes
図-5 昔の南アフリカで使用されたパイプ(1)       
Kaffir pipes2
図-6 昔の南アフリカで使用されたパイプ(2)
       "The Pipe Book"(Alfred Dunhill,1924)より 

1652年,南アフリカ(図-7)のケープ地方にオランダが植民地を拓き
ヨーロッパで流行っていたパイプが持ち込まれた.
南アフリカ略図
図-7 アフリカ南部の略図"The Pipe Book"(Alfred Dunhill,1924)より

17世紀当時のオランダは,イギリスと並ぶ”クレイパイプ”の主要な製造国だったそうです.
オランダ人の入植以前から使われていたdakka-pipe(の型)は,瞬く間に"オランダ様式"に
に席巻される.初めHottentotsホッテントット人,次いで内陸のKaffirカフィア人に広まった.
彼らは素材に木や石(Serpentineジャモン石)を用いて,ヨーロッパ風のパイプを作ったとか.
注:dakka pipeは水パイプの一つの型名,HottentotとKaffirは辞典で【侮】蔑語とあります.

ダンヒルはFig191~193のパイプを,"Kaffir Pipes" と呼んでいます.
"カフィア人が主としてダッチモデルを真似て,別の素材で作ったパイプ"
の総称で,特定の形あるいは材質による命名ではないようです.

カフィアパイプには木製と石製があり,
木製のカフィアパイプはFig191と193に図示されている.
石を削ったカフィアパイプはFig.192に2例が描かれています.
Fig.192の左図は,骨製の細いマウスピースが挿してありますが,
本体は1個のジャモン石から削り出して作ったものとか,
ダンヒルは,『メシャムを模したかも知れない』と推察しています.

右図もジャモン石製のパイプで,右端の紡錘形の部分がボウル,
これを薄い半弧状の部分(フランジ:鋼管の継ぎ手)で支える型式.
古い時代には,この形の石製パイプをブツブツ交換に用いたらしい,

日常的に使うパイプは,これらの型を真似た木製パイプだったとか.
両パイプとも,製作時代に関する記述はありません.
                   ***

OomPaul-History#4
Fig192の右図で<パイプの輪郭>だけに注目.
ここでまず,前回記事の一部を訂正
パイプの通った経路-河の流れに沿った<形の伝播>-の向きを逆にして
南ア産のFig.192右図モデルを,
"Ulmer"pipes(さらには後世OomPaul) の”原型”と位置付ける.
これがOomPaul-History#4のベクトルです.
ドナウ沿いの経路も逆でした,トルコからハンガリーを経てオーストリアへ.
                                『初夢』の代わりに-

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追記コメント欄で言及されているパイプの写真
(写真下の注:は,このブログ解にすぎません)

P131のスチューデントパイプ
スチューデントパイプ
注: ボウルの<カメノコ文字>は
   " Heil den braven Studenten! " と書いてあります.
 解説英文では"Hail to the good student!"と訳されています.
 
P130の右下
装着型のパイプ
注: 英文で "Gesteck" pipe と説明書きがあります.
"ゲシュテック"は,「刺さっている,差し込んである」を意味する
動詞<stecken>の過去分詞<gesteckt>から,英語風に語尾を
取り除いた造語でしょうか.漢字で書けば<装着or着脱式>?
sectioned pipe は<分離型パイプ>といったところですか? 
燃焼室ボウルと煙道マウスピースが『一体ではない』ということ
で,表現は違っても実質的な意味は同じだろうと思います.

P78のパイプ
さまざまなパイプ
パイプ解説文