クワ(桑)でパイプを作る?2012/03/01

悩ましい一文と云うものは、あちらこちらに在るようで・・・
また、クワの根株はパイプの格好の材料になる。

カラー版 日本有用樹木誌”(伊東隆雄・佐野雄三・安部久・内海泰弘・山口一穂共著,海青社,2011年)-という、樹木学的な特徴に加えて用材としての諸性質や利用例を一般向けに解説した啓蒙書があります。見出しの樹種数が92種-家具や器具に利用される樹が多く、関連樹を含めると100種以上の<樹木と用材の概要>が分るという、使い勝手の良い本です。

冒頭の青字文は、下に示した同書の<ヤマグワ解説>にある結びの一文です。
(この本は1樹種について2~4ページで解説されています)
樹木誌
参考資料1: 日本有用樹木誌p220-221から転載

日本産樹木を対象にした本なので、ホワイト・ヒースは載っていないだろうとは思っていました。
念のために巻末索引を眺めていたところ、”パイプ”の3文字が目にとまった。そこで該当ページを開くと、”ヤマグワ” が出てきました。

クワは、一昔前に実家の周りが一面の桑畑だったので、とても馴染みのある樹です。
古株は引き抜いて乾燥させ、薪にしていました。節くれだって堅くて鋸で挽き難く、鉈や斧をヘタに打ちおろすと何処かへ飛んで行き、機嫌が悪いと向かって来て怪我をすると云う、実に厄介な木材です。しかしその実は甘酸っぱくて、菓子が無かったころには『食べると赤痢や疫痢になる』と脅かされながら、いつも口の周りを紫色に染めていた記憶があります。

解説文の『パイプ』は、タバコ用パイプだと思いますが、いつ何処で作っていたんでしょうか?

余禄
下の複写は、カバーの表と裏です。
右の裏カバーに、12種の用材サンプルが載っています。
樹木誌のカバー写真
参考資料2: 日本有用樹木誌の表紙カバーから転載
樹種は上段から右へ <ニガキ・イチイ・カキノキ>
次の段は        <モミ・カヤ・キリ>
同様に          <スギ・ミズナラ・ブナ>
最下段は        <ヤマグルマ・ヤマザクラ・ヒノキ> だそうです。
ニガキとヤマグルマと云う名前は初めて聞きましたが、説明を読んで写真を見ると、何処かで見たことがありそうです。